音楽における個性とは何か?(という名目の推し語り)第一章「音」

「音楽の個性」といっても、音楽好きの人だって普段そんなに考え込んで聴くわけではないために
「う〜ん、雰囲気?」くらいしか判らないと思います。

また、ミュージシャン側もその辺りはなんとなく分解したくないなぁとか、
なんか触れづらいなぁとか、いろいろ考えさせられる部分ではあります。

つまり、個性を決定する要素に明確な定義がありません。

なので、私が勝手に定義します。

【音楽の個性を決定する要素】

1 音
2 構成
3 気迫
4 奏法(演奏者や歌手の場合)
5 歌詞(歌詞がある場合)

本稿では、「音」について細かく触れていきます。
音、と一口に言ってもいろいろありますので、
この記事では特に下記の三要素に絞りたいと思います。

① メロディ

② リズム

③ 楽器・音色選び

① メロディ

特徴的なメロディ、というのは素人でもなんとなく分かりますよね。
どういうメロディが刺さるのかは人それぞれですが、
「このメロディの作り方は!」「このメロディこの人じゃないか?!」
とわかるものがあるのもしばしば。

ここでは、メロディが印象的な推しをピックアップして解説していきます。

メロディNo.1:瑞希にゃんこ 氏

お聴きの通り、メロディがとても印象的な方です。

この方のメロディの特徴は、
・「ターンターンタン」というリズムでちょこちょこ音が上り下りする
・メロディに細やかな音符が多い(一部が速い)
・一曲に登場するメロディが多くなく覚えやすい
・メロディが基本的に開放的で覚えやすいが歌いづらい(イメージしづらい)

打ち込み音楽(ハードコアテクノ等)という点を活かしたメロディづくりをしていて、
生楽器や歌声では再現がやや困難なメロディながら、
開放的で覚えやすいために、親しみやすい作り方をしています。
また、上り下りがありながらもメロディの最後は大体上りきって終わります。
いい意味で盗みやすいメロディですヾ(๑╹◡╹)ノ"

もちろんにゃんこさんの魅力を際立たせる要素は他にもありますが、
今回はメロディに限定したお話なので、それはまたの機会に。

メロディNo.2:こな狼 氏

導入部を聞いた時点で「あっ、この人他の人と違う!」と感じた人は多いのではないでしょうか。

ボーカロイド音楽というのは準テクノ音楽と呼んでも差し支えない曲が多く、
人間が歌えない(歌うのに苦労する)高さ、低さ、高低差、速度のメロディが多いわけです。
理由としては、
①作り手が男性で、男性として歌える高さをそのまま1オクターブ上げて作ってしまうから
②人間が追いつけない高低差でもエラーを吐き出さない(作れてしまう)から
というところなのですが、この方はその点で大きく違います。

このお方のメロディの特徴は、
・アコースティックサウンド(アコギやピアノ等)に似合う
・「初音ミク」の声が最も人間らしく聞こえる高さで作られている
・口ずさめることというより歌うこと(言葉が乗ること)が前提
・一音一音が歌うのに程よい距離を保っている

初音ミク等ボーカロイドやUTAUを用いた楽曲でこういった作風なのは割と珍しいのですが、
この方のメロディを聴くと、
ミクがアコースティックギター一本で旅をしているような背景を想像できます。

メロディNo.3:Eraser 氏

「同じテクノっぽい音楽なのにこの人はまた違うなぁ」と思いましたでしょう?

個人的な話ですが、私はこの人のこういう民族的で牧歌調のメロディがめちゃめちゃ大好き(*´ω`*)

この方のメロディの特徴は、
・全体的に伸びやかで聴きやすい
・程よい高低差のため歌いやすい(イメージしやすい)

伸びやかなかつ歌いやすいメロディで、
音色とは対照的にパラパラが流行った年代(90年〜00年代)の勢いを彷彿とさせるような、
ノリやすく叫びやすく踊りやすいのが特徴です。
メロディに何処か懐かしさを覚える方も多いのではないでしょうか。

メロディNo.4:平沢進 氏

「マジで!?この記事その人まで出てくるの!?」と思った方も多いと思います。
当然ですよ、私の神推しの一人ですから。

このお方を音楽的にどう切り込んでいいのか迷う人も多いと思いますが、
私はあえて一つ絞るなら「メロディ」で切り込みます。

このお方のメロディの特徴は、
・覚えにくくて覚えやすい
・アジア系または民族系の音階が主流で、現代日本人の親しみやすいものが滅多に登場しない
・にもかかわらずコーラスがつくことも多く、強く印象に残る

「民族系」という表現をしたのは、私自身がこのお方の作るメロディに
クラシック音楽の「ペルシャの市場にて」と少し似た雰囲気を感じているからです。
軍歌とも違う、迫力と活気のありながら何処か民に寄り添うようなイメージは、
なんとなくこの方のメロディの源流に近いのではないでしょうか。

メロディNo.5:Yukira 氏

「お!今度はボカロらしいボカロだ!」と感じた方も多いでしょう。
しかし、この人にもまた世間的な「ボカロらしさ」と大きく異なる点があります。

このお方のメロディの特徴は
・親しみやすさや懐かしさがある
・やや高低差があるものの覚えやすく、イメージがしやすい
・伸びやかな部分と跳ねる部分がはっきりと分かれていて、メロディ自体にメリハリがある

私はこれを初めて聞いた時に「小室ファミリー好きか?」と感じてテンションが上がりました。
勢いを感じさせつつ、穏やかな部分では伸びやかさや緩やかさを体現しているため、
決して一曲の中でメロディが一辺倒にならないという大きな特徴があります。
これは最近流行りの音楽に足りない部分でもあり、このお方の大きな強みでもあるので、
いい意味でやはり盗みやすい方だと思いますヾ(๑╹◡╹)ノ"

② リズム

覚えやすいリズム、というものも存在します。
「でもそんなの関係ねえ!」とか「ラララライ!」とか「レボリューション!」とか、
お笑い芸人さんの印象的なセリフも、だいたいリズムのとりやすいものが多いですよね。

え? 古い? うるせえ。謝れ。

リズムNo.1:マキシマム ザ ホルモン の方々

はい、またも神推しです。
「え?ホルモンといえばメロディやデスボでは?」と思う方もいるでしょう。
いえ、ホルモンの独特さでここで特筆すべきは「リズム」だと思います。

この曲中に出てくる
「あー!!痛痛痛 もうー!!イライライラ 腹減ってきて飢える!」
というリズム。
酒の席での「飲んでコール(のーんでのーんでのんで!ってやつ)」にも似ていて
初見でもパッと覚えられるほどとても親しみやすいのです。
飲んでコール、と例えるとなんかゆるく聞こえますが、
それがこの激しいサウンドや力強い声に乗せられるとめちゃめちゃかっこよく響きます(*´ω`*)

「再検査 月・火・水」
のリズムはホルモンの代表的なリズムの一つです。
他の曲でもちらほら見かけることができて、
この一曲にもまたホルモンの全てが詰まっていると感じさせられます。
リズムについてはホルモンがあまりにも私の中で特徴的だったので、
ホルモン以外の方をピックアップできませんでした( ̄◇ ̄;)

③ 楽器・音色選び

先に触れた方々にも勿論楽器や音色に対するこだわりがあると思います。
というか、多くのミュージシャンはそうです。
しかし、それ以上に音色や楽器の使い方が特徴的で独特な推しをピックアップして、解説していきますヾ(๑╹◡╹)ノ"

楽器・音色選びNo.1:Kerwy 氏

サラサラとしたシンセサウンドと程よいテンポが特徴的です。
シンセでありながらどこか懐かしさを感じさせる音色で紡がれるメロディにも心地よい懐かしさや切なさがあり、
とても耳に馴染むと感じる方も多いのではないでしょうか。

このサラサラとしたシンセサウンドには奥行きを感じさせる効果があり、
どこか果てのない空間で聴いているような心地よい錯覚に囚われます。

楽器・音色選びNo.2:ayam(koishi_closed) 氏

古めかしさや懐かしさのある打ち込み音源に乗せられるピアノのメロディというコントラストが非常に心地よい。
この楽曲は私が一番好きな曲で全体的に穏やかなのですが、
他の楽曲はもっと爆速だったりノリが良かったりするものが多いです。
その最中にもピアノが爆速でキラキラと大暴れしていて、楽しいかつ圧巻です。

ご本人にこの音色に対するこだわりがあるかは定かではありませんが、
「この年代のシンセサイザーにしかない煌めきや輝き」というものは存在します。
そういう意味でも、現代的なバキバキのテクノサウンドよりも少し前の柔らかい音を用いることで
このお方独特の世界観が構築されている気がしてなりません(*´ω`*)

楽器・音色選びNo.3:小鳥遊音彩 氏

ピアニスト(作曲系)VTuberとだけあり、ピアノを中心としたクラシックのようなサウンドです。
ピアノの中でも
・ガンガン暴れ馬のように弾く
・静かなジャズのように流れるように弾く
などなど、音符一つでも表現方法が沢山ありますが、
このお方のピアノは「メロディの輪郭をはっきりさせつつ、淡く遠くへ響かせる」という音色で演奏されます。
また、ピアノの他に響く音色もストリングス(ヴァイオリン軍団)などの古典派楽器や、
この楽曲では低く遠くに響く大太鼓(バスドラム/キック、ここではクラシック的な意味を込めてこう表記)など、
「クラシック音楽」を構成するような音選びをされています。

他のテクノ楽曲等でノリ良くはしゃいだあと、
こういったイージーリスニング系の音楽でほっと一息つきつつ
この世界観に包まれるのも良いのではないでしょうか。
さあ、紹介したい人やピックアップしたい人が多すぎて思った以上に時間食ってしまいましたので
残りの4要素(構成、気迫、奏法、歌詞)については後日お話しします( ̄◇ ̄;)

いやあ、爆速かつ丁寧に書いたつもりだったんですが、思いの外難しいですね(^◇^;)

「本格的なわかりやすい説明だのガチ解説だのはどこいったんだよ?」と怒られそうですが、
許せ。

それでは、またの機会に。

水橋製作所日誌

縦横無尽の音楽的凶悪犯「水橋大海」のホームページです。 作品公開に利用しているサイトへジャンプできるようになっています。 ブログはおまけです。

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